炭鉱夫は止まらない

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IPX7とか50m防水って? 防水規格の解説とよくある勘違い

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最近販売される家電製品では防水機能が搭載されているものが非常に多くなってきました。
イヤホンやウェアラブルデバイス、美容器具にスマホ、最近ではiPhoneも防水機能を持つようになりましたね。

しかし、この防水機能のことをきちんと理解して使っていますか?
防水機能があるからと、安易にプールやお風呂で使ったりすると故障してしまったり、最悪感電事故になってしまうこともあり得ます。
しかも、間違った使い方をしていた場合はメーカーの保証が得られない可能性も!

今日はそんな事故が起こらないよう、防水機能の正しい性能についてお話していきたいと思います。

防水性能の規格について

現在の製品にはIPX7や5気圧防水、100m防水など様々な防水性能についての表記が入り混じっています。
非常にややこしいですよね?

実は防水規格については大きく分けて2種類あります。

一つはIECという国際規格に基づいた電気機械器具類の防塵・防水規格で、IPコードによる表記をします。
IP21とかIPX7とか書かれているもので、主に家電製品に使われます。

もう一つはISOという国際規格に基づいた防水時計の規格で、5気圧防水や100m防水と書かれているものがこれに当たります。
こちらは元々は時計向けの規格になります。

スマートウォッチやウェアラブルデバイスはISO規格で表記されていることが多いですが、IEC規格であるIPコードによる表記も混じっていることがあり非常にややこしいです。

ではそれぞれの規格について、どのような防水機能があるのか見ていきましょう。

IPコードによる防水性能について

IPの後の2種類の数字によって保護等級が決まります。
前半の数字を第一特性数字と言い、固形物の侵入(防塵性)を表します。
後半の数字を第二特性数字と言い、防水性を表します。
基本的にはどちらも数字が入りますが、性能について言及しない方についてはXと表記することがあります。
IP5Xなら防塵性についてのみを、IPX7なら防水性についてのみを表しているということです。

それぞれの数値の意味は以下のようになります。
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第一特性数字は防塵性を表すと言いましたが、実際にはIP1X~IP4Xまでは手や指が入らない等の機械的安全性について表しています。
防塵性を表しているのはIP5X~IP6Xです。

防水時計向けの防水性能について

防水時計向けの防水性能は表記内容がそのまま性能なためわかりやすいですね。
通常、日常や軽いスポーツで使うような時計では5気圧防水などの気圧表記を、ダイビングで使うようなダイバーウォッチには100m防水などの水深表記がされます。

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よくある防水性能の勘違い

様々な表記のある防水性能ですが、それぞれをしっかりと把握している人はそう多くはないのではないでしょうか。
一見すると大丈夫そうな使用方法でも、実はNGなことが結構あります。
ここでは防水性能について勘違いしがちなことをまとめていきます。

防水機能があればお風呂やプールで使えるの勘違い

一番勘違いの可能性があるのが、プールやお風呂場で使えるという勘違いではないでしょうか。

例えばIPX7の説明を見ると、水に浸しても影響がないように保護されているとされています。
しかし、ここで言う水というのは常温(5℃~35℃くらい)の水道水を指しており、温度の高い風呂水や、塩素が多量に含まれたプールは対象外なのです。
これは、ゴムパッキン等の防水に用いられている部品が温度による変形や酸性・アルカリ性などの水質による劣化した場合は防水性を維持できないということを考慮しています。
そのため、防水性能が謳われていてもお風呂やプールで使用するのは基本的には自己責任となります。
これはIPX7に限らず、5気圧防水などの防水時計の規格でも同じです。

例外として、IPX8で説明書等に別途使用可能と記載されている場合や、ダイバーウォッチ又はそれ相当の防水性を持っている製品であれば、お風呂やプールでの使用も保証されます。

IPの数字が大きいほど防水性能が高いの勘違い

IPX1よりはIPX2のほうが、IPX2よりはIPX3のほうが防水性能が高いというのは間違いではないんです。
基本的にはどんどん試験条件は厳しくなっていきます。
しかし、IPX6までは放水なのに対してIPX7からは浸水と試験方法がガラリと変わります。
そのため、一概にIPX6よりもIPX7のほうが防水性能が高いとは言えなくなってきます。

IPX6というのは1分間で100リットルの水を、100kPaという凄い勢いで3分間かけ続けます。
一方でIPX7というのは、深さ1mの静かな水中に30分間放置しても大丈夫というものです。水深1mでかかる圧力はおよそ10kPaです。
つまり、IPX7の防水性能の機器に100kPaの勢いの水を噴射した場合、防水を保てない可能性があるということです。
逆にIPX6の防水性能の機器は、水深1mで30分浸けると防水を保てない可能性があります。

つまり、IPX6とIPX7には評価方法に大きな違いがあるため、一概にIPX7の方が優れているとは限らないということは意識しておきましょう!

5気圧防水なら50mまで潜って大丈夫の勘違い

5気圧防水 ≒ 50m防水のような表記を見たことないでしょうか。
こう見ると5気圧防水であれば50mまで潜っても耐えられそうに見えます。

しかし、実際には大きな間違いがあります!

水の中で歩こうとすると水に阻まれて思うように動けないというのは簡単にイメージできるかと思います。
このように水中で動こうとすると水から大きな力を受けるわけですが、これが思っている以上に強い力で、激しく泳いだりすると水面ギリギリでも5気圧を越える力が働いてしまいます。
つまり、5気圧防水では防水を保てなくなってしまうのです。

終わりに

家電製品やスマートウォッチなどの防水性能についてのお話でした。
特に家電製品でありがちだと思いますが、防水性能を保証している条件ってかなり限定されているんですよね。
説明書などに特別記載がない限りはお風呂やプールなどで使うのは控えることをオススメします。
基本的に保証の対象外になってしまうため、自己責任になっちゃいます…。

ということで、正しい防水性能の知識を身に着けて安全に使いましょう!

今日はそんな感じで。
ではでは~