炭鉱夫は止まらない

世の中に眠った役立ちそうなものを探して綴る雑記

妹さえいればいい。というラノベが凄い面白かったのでオススメしたい

2017年の秋アニメ作品の一つ、『妹さえいればいい。』
原作はガガガ文庫から出ているライトノベルです。

タイトルを見た瞬間

「あー、俺妹とかエロマンガ先生的なやつかな。そういうのもうお腹いっぱいなんだよなぁ。そもそも妹萌えとかわかんないし」

なんて思っていて、当初は小説を手に取ることがなく、アニメ化した際も全くもって期待していませんでした。

しかし、アニメの1話を観て僕の考えは大きく変わりました。

「なんだこのぶっ飛んだ内容のアニメは!作者の頭おかしいんじゃないか!?」

と。

ここで興味を持ってしまった時点で僕はこの作者に見事にやられてしまったのだと思います。
気付けば小説を全て購入し、3日で全巻読み終えてしまいました。
読んだ後で知ったのですが、この作者、『僕は友達が少ない』の著者だったんですね。(ちなみに僕ははがないが好きではない)

妹という属性に特に興味のない僕がなぜ『妹さえいればいい。』という作品にハマってしまったのか。
ネタバレなしで紹介したいと思います。

※公式HPのINTRODUCTIONやCHARACTERを見ればわかる程度の内容はネタバレではないと判断します。また、ストーリーに関係ない情報についてもネタバレではないと判断しますのでご了承ください。

『妹さえいればいい。』のここが面白い

個人的には以下のような点が魅力的だと思っています。


妹さえいればいい。のここが魅力!

・ただの妹キ○ガイかと思ったら熱く芯の通っている主人公
・キャラや設定にそれなりにリアリティが感じられる
・作家や編集者についての業界裏側の小ネタ・知識
・今まで知らなかった多種多様なビールについての知識
・物語中に差し込まれるボードゲームやTRPGが面白そう

うん、色々書きましたが、その多くは知識欲が満たされるというところでしょうか。
上記についてもう少し詳しく掘り下げていきます。

ただの妹キ○ガイではない主人公


原作・アニメどちらも冒頭は衝撃的な内容から始まる本作ですが、開始3分でいかに主人公(というか作者)の妹に対する想いがぶっ飛んでいるかがわかります。
が、まさかの主人公である羽島 伊月には妹なんていないという展開。

そう、主人公・伊月が大好きなのはあくまで妹という存在。
妹であればそれが二次元だろうと三次元だろうと、更には妹という字にもギリギリ萌えるという特殊性癖の持ち主。

妹に関しては周りが引くような発言をしたりひねくれた発言をする伊月ですが、根は非常にまじめで自分の目標のためには努力を惜しまない人間だったりします。

ふとした瞬間に見せる信念にカッコよさを感じてしまいます。

どこかリアリティのある設定

本作の舞台は基本主人公・伊月の部屋になります。
これは主要キャラの中で伊月だけ一人暮らしをしているから、というよくある理由によるものなのですが、ラノベ作品ではしばしば両親がどこか長期の旅行に行っていたりなぜか高校生なのに一人暮らしをさせてもらっていたりといった本来ではあり得ないセオリーが存在します。

しかし、本作は伊月含め登場キャラの多くが売れっ子作家や編集者などそれなりに収入のある立場にいます。
しかも、キャラの年齢が20歳前後とラノベ作品にしては平均年齢が高い作品となっているため、一人暮らしをしていても何ら不自然ではなく、デビューから何年か経っていることから多少売れる作家になっているというのはあり得ない話ではないですよね。

最近はあまりにもあり得ないことを『創作だから』という安直な理由で押し通そうとする作品が数多くあります。
個人的には屁理屈でもいいから作者なりの理由を付けて欲しいところ。

こうした何気ない部分のリアリティを大事にする作品というのは、物語の世界観に没入する上では非常に心地よいです。

作家や編集者についての小ネタや知識が満載

本作はラノベ作家が主人公の物語となるため、作家自身やそれに関わる編集者の仕事、ラノベ作品がアニメ化するというのがどういうことかなど、作品が作られる裏側のお話がもりだくさんです。

また、この作品の世界観は基本的に僕らの世界と同じと言っていい世界のため、電撃文庫やMF文庫などももちろん存在します。
しばしば実在の作家や作品の名前を出して裏話についてさらっと触れられていたりして「ほぉー」という気持ちになれます。

個人的に面白いなと思ったのが、作中で行われるTRPGの世界に「ホーンリバー帝国」だとか「ミッドフィールド公国」だとかどこか聞いたことのある名前が登場し、その勢力関係が元ネタを反映しているのだろうことが伺える点です。

たぶんこの作者は角川に恨みがあるんでしょうね。

たびたび出てくる多種多様なビールが非常に気になる

本作品の登場キャラの多くが20歳以上!
ということで作中にて伊月たちがお酒を飲むことは倫理的に全く問題がないわけですね。

物語内ではたびたび海外のビールが登場し、その特徴についての描写があったり、お酒に合うつまみの話が出たりと、作者がいかにビール好きかということが伺えます。

小説では文中でどんなビールが語られますが、アニメではアイキャッチで詳細が表記されます。
お酒が好きな人間からすると作中に登場するビールは非常に気になるところ。

ちなみに登場するビールの多くがAmazonで購入できます。

作中で行われるボードゲームが面白そう

ボードゲームに詳しくない僕からするとボードゲームと言えば人生ゲームやすごろくとかが思い浮かぶのですが、推理クイズみたいなものも含むみたいですね。

本作では伊月の家にみんなが集まった際に“ボードゲームで遊ぶ”という場面がよくあるのですが、そこは主要キャラが作家の作品だけあって行われるゲームは物語を考える力が重要になってくるものばかりです。

例えば小説1巻やアニメ1話でも登場する『ウミガメのスープ』というゲーム。
正確にはシチュエーションパズルというそうですが、日本での代表問題がウミガメのスープのため、こう呼ばれるそうです。

ゲームの流れとしては、一人が出題者となって問題を出し、他の人が出題者にYES/NOで答えられる質問をしながら答えを推理していくというものです。
詳細ははてなキーワードにも書かれています。

恐らくこうしたゲーム内容だけをポンっと教えられても全く興味を持たなかったでしょうが、作中でキャラクターたちが実演しているのを見ると「面白そう」と思ってしまうのだから不思議なものです。

こうした思考ゲームは実際に作家たちの間で流行っているのかもしれません。
何かの待ち時間など暇つぶしをしたい時なんかにやってみたいですね。

合わない人にはとことん合わないだろう作品でもある

僕はこの作品を見てドはまりしてしまったために勢いでこんな記事を書いてしまっているわけですが、合わない人には合わない(むしろ合わない人のほうが多いんじゃないか)というのも理解できます。

まず、深いストーリーを期待している人にはあまりにも退屈な内容となっています。
この作品は一応時系列順に並べた短編集に近い文体となっており、日常ものに少しストーリー性を持たせた良くも悪くもかるーく読める物語です。

また、文中には他作品のネタがちょこちょこ出てくるため、そういったものを嫌う人にも受け入れがたいかもしれません。
僕自身一時期流行ったネットスラングとかジョジョネタとか出てくるのはあまり好きじゃないのでその気持ちはわかります。

次に、下ネタやエロが過剰に入ってくる点もかなり人を選んでしまうのかなと。
本来ライトノベルは中学生、高校生くらいを対象にしていたはずなのにこれは行き過ぎじゃないの?
ここ数年のラブコメはまぁエロ要素が過剰気味なのでこの作品についてだけとやかく言うのはどうかなという感じもしますが、もう少し控えたほうがいいかなとも思います。

最後に、お酒ネタがあったり社会人ネタがあったりと本来のターゲットである10代には一切ウケないネタが満載となっている点は致命的なのではないかなと思ったりします。
逆にそのおかげで僕は非常に楽しめているのですが。

そんなわけで『妹さえいればいい。』という作品はどうにも読者層を選んでしまう作品なのは否めません。

終わりに

合わない人にはとことん合わない内容だろうな、と思う一方で、本来であれば面白いと思う人も僕のようにタイトルだけで避けてしまっている人がいるのではないか、それはとてももったいない!
という想いからこの『妹さえいればいい。』という作品を宣伝してみました。
ちなみにAmazonレビューを見るとボロクソに叩かれているのを見て少し悲しくなりました。

どうか一人でも面白いと思う人が増えますように。

よろしければこちらもどうぞ。
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